詩 ポエム 赤い髪の少女 ~赤の物語~
少女は思う
サンザシの花を髪に飾り
花の香りにうとうとしながら
もう春がやってきたのね
昨日シロツメクサの小道で出会った
黄金色をした少年
春の精だったのかしら
籠いっぱいのサンザシをもらった
小川の流れをすくってみれば
冷たい手も ほんのり暖かく
つゆになって消えた
空っぽの手
モンシロチョウがやってき
少年に何かをささやく
夏を迎えに行かなくちゃ
カゲロウの中に消えていった
野ばらのつぼみはまだ堅く
小道がバラで溢れるのは
もう少し先のよう
無事に夏に会えるといいわね
緑の屋根の家に住む
赤い髪をした少女
春のベールに包まれて
うとうと春の夢の中